忘れっぽくなった自分のために残したビンボーな備忘録

よみがえれ古時計! 簡単修理で復活。 子供の手作り時計にも

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記事の一部を手直ししました。2024.3.17

 壊れた壁掛けのからくり時計が、不具合のあったパーツの交換で復活しました。

目次

動かなくなった掛け時計 でも捨てるのはまだ早い

 20年以上前に新築祝いとして同僚たちから贈られた壁掛け式の時計、電池の液漏れなどで基盤が損傷し、動かなくなってしまいました。

ふと息子が小学生の時に工作で時計を作ってきたのを思い出し、からくり部分は無理としても、時計の心臓部(ムーブメント)さえ交換できれば時計として機能するので、自分で修理することにしたのでした。

時計機能として必要なのはムーブメントと針だけ

豪華で複雑そうに見える時計ですが、壁掛け時計の構造はからくり部分を除いていたって簡単。

時計としての機能はムーブメントと針だけなのです。

たとえばこんなふうに…

時計の原型-ムーブメントと針
【図1】ムーブメントに針を付ければ立派な時計
ムーブメントと針だけで壁掛け時計になる
【図2】壁を文字盤代わりにすればなお完璧

これだけでも時計としては機能十分です。

ムーブメントを文字盤に取り付けるには2つのタイプ

 さて、このムーブメントを時計の文字盤に取り付けるのですが、方法として2つあります。

1. ムーブメントの本体を文字盤裏のホルダに固定する

文字盤の裏側にホルダがあるばあいは、ここにムーブメントを固定します。

2. ムーブメントのシャフト部分を文字盤に固定する

文字盤の裏側にホルダが無い場合は、シャフト部分を文字盤に固定します。
(ネジが切ってあるシャフトが必要)

左が元のもの、右が交換品のムーブメント
【図3】 左:文字盤の裏側のホルダでムーブメント本体を固定 右:ナットで締めつけるためシャフトにネジが切ってある

2つのタイプを比較してみましょう。

1 文字盤裏のホルダに固定するタイプ

 下の写真はこの時計の背面部ですが、ムーブメントは時計本体のホルダの爪で固定されています。市販の製品の多くはこのようなタイプです。

元のムーブメント取付状況
【図4】

下の写真はこの時計を文字盤側から見たものです。

シャフトと文字盤の間に隙間ができますが、製品ではプラスチック製の隙間リングで隠しています。

シャフトを文字盤に固定するタイプは、ネジを切るためにシャフトが少し太いのですが、この大きさの穴ならどのタイプでも取り付け可能ですね。

文字盤側から見たホルダ固定式のシャフト先端
【図5】 ムーブメントはホルダーで固定されており、シャフトは文字盤から浮いている

2 シャフトを文字盤に固定するタイプ

 これは下の写真のように、ムーブメントのシャフトにねじが切ってあり、このシャフトをナットで文字盤に固定するもので、構造としてはシンプルです。

子供の工作でベニヤ板などの文字盤に取り付ける場合に適しています。

正しい長さのシャフト
【図6】 シャフトはナットで文字盤にしっかりと固定されている。ねじの部分だけ太くなる。

各部品のサイズは要確認

時計シャフトの長さ (重要です)

● シャフトが長すぎると・・・

製品時計の前面には通常カバーがあるので、針がこの前面カバーに当たってしまうことがあります。

● シャフトが短すぎると・・・

どちらのタイプであってもシャフトが文字盤の上に出てこないと針が取り付けられません。

シャフトが長すぎる場合の調整の仕方は…

一般的に文字盤というのは薄いもので、文字盤の上に出ているシャフト部分が長すぎると見た目にも良くないうえに、前面にガラスのカバー等がある場合はシャフト(あるいは針)が当たってしまいます。

文字盤の厚さによってはシャフトが文字盤の上に長めに出てしまいます。
【図7】

この場合は時計の構造にもよりますが、文字盤とムーブメントの間に角材や厚紙を挟んで下駄を履かせることにより、シャフトが出すぎるのを調整できます。

シャフトが長すぎる場合は、文字盤の裏に角材等を挟んで高さを調整することも可能
【図8】

完全に自作の場合は厚めの文字盤を採用することでも解決できます。

ナットで挟み込んでシャフトを文字盤に固定
【図9】

規格が記載されている場合は確認する

※ シャフト等のサイズはカタログに次のように表示されていることがありますが、載っていないものもありますので要注意。

例:16ミリシャフト
  時計の文字盤 4~6ミリ厚
  文字盤厚さ〇〇ミリまで対応
  ・・・などなど

文字盤の穴の大きさは

さて針を取り付けるシャフトの太さは、文字盤に固定するタイプではネジ山を切るために少し太めであり、文字盤の穴は直径10ミリメートルくらいは必要です。

工作で作る場合は穴の太さは調整できるでしょう。

既に述べたように、ホルダタイプはねじ山が無いので軸が若干細めなのですが、そのために生じた軸と文字盤の間の隙間は通常プラスチックの隙間リングで埋めてあります。

しかし隙間リングは無くても問題はないと思います。ただ隙間が見えると見た目には良くないかもしれませんが。

針はどうする

 元の針をそのまま使ってもいいのですが、取り付け部分の穴のサイズがシャフトと必ずしも合うとは限りません。

ムーブメントを購入する時にセットで買っておいた方がいいかも知れません。

それに針は結構ヨレヨレになるものです。なお購入する際は針の長さには注意しましょう。

 文字盤がほぼ円形であれば問題はないのですが、今回の時計のように上下に長い楕円形の場合、針の長さが横幅の長さを超えないように注意が必要です。

こんなことも…

毎時0分から30分までは長針は重力の助けもあってスムーズに下りるのですが、30分から60分(0分)までの間は、長針は重力に逆らって上に向かわないといけないので、途中で止まってしまうものがありました。針が重いというよりムーブメントの力不足だったのでしょう。これはムーブメントが不良品だったのですね。

スイープとステップについて

ムーブメントの秒針の動きには「ステップ」と「スイープ」の2種類があります。

ステップ式

ステップ式というのは秒針が等間隔に時を刻んでいくタイプで、静かな場所であればコチコチと音が聞こえます。

スイープ式

スイープ式というのは、秒針が滑らかに動くタイプで動作音はほとんどありません。

スイープ式を採用した場合は動作音が聞こえないので、

秒針を付けないと時計が動いているのかどうかわかりにくい

です。(1分くらい観察していると分針が動いているのがわかりますが…)

さあ、実際に交換してみよう

ある程度理解できたので、実際にムーブメントの交換作業に入ります。

ムーブメントの取り付け

ホルダ固定タイプではないが、サイズがほぼ同じなのでこのように収まってしまった
図10 ムーブメントが偶然にもホルダに収まった

 ムーブメントのサイズが不明だったので「軸を文字盤に固定」するタイプの物を購入したのですが、ムーブメントはそのままホルダーに収まりました。ムーブメントのサイズって共通なのでしょうか。

 上の写真(図10)はその時の状況です。ホルダーにうまく固定されたので、シャフトのナット締め付けは省略してこのまま使うことにしました。 

最後に針を取り付ける

針を購入する際には注意

針を取り付けます。
通常ムーブメントと針はセットで販売されていることが多いですが、別々の場合は次の事項に留意します。

  1. まれですが軸の太さと針穴の口径が微妙に合わずゆるゆるだったり(経験済み)きつすぎたりということがあります。
  2. ムーブメントの軸は通常すべての針(時、分、秒)が取り付けられるようになっていますが、分針に穴が空いていないと最上部の秒針が取り付けられません。
分針に穴が無いと秒針を取り付けられない
【図11】 分針に穴がないタイプでは、その上に秒針を取り付けられない
交換後の指針
【図12】 分針に穴あきの物を購入し秒針を取り付けた

針はそれぞれ水平にしてぶつからないように

 針は時針・分針・秒針がそれぞれ平行になるようにセットします。さもないと針が一回りする間に互いの針同士が接触、衝突して針の動きが止まってしまいます。

 私は通販で購入したのですが、ビニル袋に入れられた部品が紙の封筒で送られてきたため、特に秒針はアイロンでもかけたくなるほどよれよれになっていて、水平に伸ばすのに苦労しました。

針はていねいに扱わないとよれよれになってしまうんだ

こっちのほうが精密部品ね

古時計は息を吹き返し元の位置に

 下の写真のように再生した壁掛けからくり時計は元の位置に収まりました。
秒針が新しく加わりました(併せて分針も交換)。

壁掛け時計のビフォーアフター
【図13】 壁掛け時計のビフォーアフター。赤い秒針が追加されて復活しました。

使ってみた感想

 私はムーブメントを通販で購入したのですが、サイズの表示が無いものが多く既製品の部品交換では不安がありました。特にシャフトの長さについては困りますね。

また後で気がついたのですが、電波時計のムーブメントもサイズはほとんどが 56mmx56mm です。規格品なのかもしれません。

でも購入の際はサイズの確認をしてください。併せて針が付属しているのか別売りなのかも要確認です。

安いのはいいけれど、安物には注意

 実はこの記事を投稿する前に1度交換作業をしているのですが、交換後3ヶ月ほどしてから急に遅れが目立つようになり、ひどい時は1時間に10分も遅れるようになりました。これではちょっと使えませんね。

安くても良いものならいいのですが、「安物」には注意が必要です。

何しろ最初のムーブメント、数百円という価格だったのでこんなものかなとも思いました。

その後あらためて日本メーカーの誠時ブランド(製造は中国)のものを購入。それでも前回の2倍ちょい程度の値段でした。


【参考】
 現在稼働中のムーブメントについて取説の一部を掲載します。
(交換した誠時SP350)

ムーブメントの取り付け説明書
【図14】市販ムーブメント(誠時SP350)の取説から

余ったパーツで壁掛け時計を手作り

ムーブメントが1つ余ってしまったので(軸が長すぎて使えず)、時計が無い二階の洗面トイレ付近の壁にピンで取り付けてみました(再掲)。

ムーブメントのみ壁に取り付けてみた
【図15】トイレ入り口の壁に取り付け これぞ壁時計(再掲図2)

数か月後ちょっと欲が出て、購入した文字盤に載せてみました。

文字盤に載せてみました
【図16】しばらく壁時計でしたが、1年後に壁掛け時計になりました

どうせやるのならと、文字盤を塗装して文字符を付けました。

文字盤にムーブメントを取り付け
【図17】塗装した後ムーブメントを再度取り付け
文字盤に文字符を貼り付ける
【図18】文字盤に文字符を貼り付け

結果、1日後にこうなりました・・・。
夜中に急いで作業したので文字符が少し曲がってしまいました (^^;)。

文字盤に数字を載せました
【図19】壁掛け時計になった瞬間

● 文字盤(時計盤)と文字符は大規模ホームセンターまで行って探しましたが、見つからなかったので通販で購入しました。

(おわり)

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