よみがえれ古時計! 簡単修理で復活。 勢い余って手作り時計にも手を出して・・・。

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動かなくなった掛け時計 復活をこころみる

 新築のお祝いに同僚たちが贈ってくれた壁掛けのからくり時計がとうとう壊れてしまいました。

 からくり部分は電池の液漏れで基盤が損傷し、すでに動かなくなっていたのですが、今度は時計ムーブメント(時計の針を動かす部分)が完全に止まってしまったのです。

 20年以上前の代物とはいえ見栄えは悪くないし、記念品なのでからくり部分は無理としても時計部分だけでも修理に出そうかと思いました。ただちょっと面倒という気持ちもありました。

ふと息子が小学生の時に工作で時計を作ってきたのを思い出し、時計の心臓部(ムーブメント)さえ交換できれば時計として機能するので、自分で修理することにしたのでした。

まずは時計の予備知識
自作する方も必見!

時計機能として必要なのはムーブメントと針だけ

豪華で複雑そうに見える時計ですが、時計としての機能はムーブメントと針だけなのです。

そして時計の精密部分と言われるムーブメントは、手のひらに載る程度の大きさのものが1つのパッケージになっているので、とても気楽なDIYでした。

思い出のある時計がかつての姿(又はそれに近い)でよみがえるのであれば、多少の小細工が必要だったとしても楽しみの一つになることでしょう。

ムーブメントを文字盤に取り付けるには2つのタイプ

 まずムーブメントを文字盤に固定しなければなりませんが、方法として2つあります。

  1. ムーブメント本体を文字盤裏のホルダに固定する
  2. ムーブメントのシャフト部分を文字盤に固定する
左が元のもの、右が交換品のムーブメント
【図1】 左:文字盤の裏側のホルダでムーブメント本体を固定 右:シャフトを表側からナットで文字盤に締めつける

上の写真左側は本体をホルダに固定するタイプです。
右側はシャフト部分を文字盤にナットで締め付けて固定するものです。外側にねじが切ってあるのがわかります。

2つのタイプを比較してみましょう。

1 文字盤裏ホルダに固定するタイプ

 下の写真はこの時計にもともと付いていたムーブメントですが、ムーブメントは時計本体のホルダの爪で固定されています。ホルダを最初から設計しておかないといけないので、市販の製品に多いタイプです。

元のムーブメント取付状況
【図2】

 ↑ ホルダーに取り付けるタイプは元々シャフトをネジで留める構造にはなっていないので、ホルダーが無いと取り付けられず、自作の時計には不向きです(工夫の余地はあります)。

文字盤側から見たホルダ固定式のシャフト先端
【図3】 ムーブメントはホルダーで固定されている。シャフトは宙ぶらりんで、文字盤の穴から出ているだけ。

↑ 文字盤から出てきたシャフトに針をとりつけます。シャフトと文字盤は接触していません。ねじ山が無いだけシャフトは細目であり、そのためシャフトと文字盤の間に生じた隙間はプラスチックのリングで埋めておきます。(リングを取り外した状態で写真を撮ってしまいました。)

2 シャフトを文字盤に固定するタイプ

 これは下の写真のように、シャフトをナットで文字盤に固定するだけなので、構造としてはシンプルです。軸部分にはネジが切ってあります。ムーブメント本体を固定する必要が無いので、自作に向いているでしょう。

正しい長さのシャフト
【図4】 シャフトはナットで文字盤にしっかりと固定されている。ねじの部分だけ太くなる。

各部品のサイズについて

既製品の一部部品を交換する場合は、それぞれのサイズが問題になります。

時計シャフトの長さ (重要です)

ムーブメントを文字盤に固定する2つの方式については分かりましたが、そのほかにも重要なことがあります。それはシャフトの長さです。

シャフトが長すぎると・・・

製品時計の前面には通常カバーがありますので、軸が長いとこの前面カバーに針が当たってしまうことがあります。

シャフトが短すぎると・・・

短いとシャフトのねじ部分が文字盤の上に十分出てこないので、シャフトを文字盤に固定するタイプではナットで締め付けることができません。

ムーブメント自体を固定するタイプでも、シャフトが短すぎると針が取り付けられないことがあります。

シャフトが長すぎる場合の調整の仕方は…

一般的に文字盤というのは薄いもので、文字盤の上に出ているシャフト部分が長すぎると見た目にも良くないうえに、前面にガラスのカバー等がある場合はシャフト(あるいは針)が当たってしまいます。

文字盤の厚さによってはシャフトが文字盤の上に長めに出てしまいます。
【図5】

この場合は、時計の構造にもよりますが、文字盤とムーブメントの間に角材や厚紙を挟んで下駄を履かせることにより調整可能です。

シャフトが長すぎる場合は、文字盤の裏に角材等を挟んで高さを調整することも可能
【図6】

完全に自作の場合は厚めの文字盤を採用することでも解決できます。

ナットで挟み込んでシャフトを文字盤に固定
【図7】

規格が記載されている場合は確認する

※ シャフト等のサイズはカタログに次のように表示されていることがありますが、載っていないものもありますので要注意。

例:16ミリシャフト
  時計の文字盤 4~6ミリ厚
  文字盤厚さ〇〇ミリまで対応・・・などなど

文字盤の穴の大きさは

さて針を取り付ける軸の太さですが、文字盤に固定するタイプだとねじ山の分だけちょっと太くなり、直径10ミリメートルくらいは必要ですね。工作で作る場合は穴の太さは調整できるでしょう。

市販品の場合文字盤の穴は直径約10ミリメートルくらいで、ねじが切ってあるタイプでもそのまま使用できました。

既に述べたように、ホルダタイプはねじ山が無いので軸が若干細めなのですが、そのために生じた軸と文字盤の間の隙間は通常プラスチックの隙間リングで埋めてあります。

しかし隙間リングは無くても問題はないと思います。ただ隙間が見えると見た目には良くないかもしれませんが。

針はどうする

 元の針をそのまま使ってもいいのですが、取り付け部分のサイズがシャフトと必ずしも合うとは限りません。ムーブメントを購入する時にセットで買っておいた方がいいかも知れません。それに針は結構ヨレヨレになるものです。なお購入する際は針の長さには注意しましょう。

 文字盤がほぼ円形であれば問題はないのですが、今回の時計のように上下に長い楕円形の場合、狭くなっている横の長さを超えないように注意が必要です。

こんなことも…

長針が0分から30分までは下りだからいいのですが、30分から60分(0分)までの間は途中で止まってしまうものがありました。針が重いというよりムーブメントの力不足だったのでしょう。これはムーブメントが不良品だったのですね。

スイープとステップについて

ムーブメントの秒針の動きには「ステップ」と「スイープ」の2種類があります。

● ステップ式

ステップ式というのは秒針が等間隔に時を刻んでいくタイプで、静かな場所であればコチコチと音が聞こえます。

● スイープ式

スイープ式というのは、秒針が滑らかに動くタイプで動作音はほとんどありません。

ただしスイープ式を採用した場合は動作音が聞こえないので、

秒針を付けないと時計が動いているのかどうかわかりにくい

です。(1分くらい観察していると分針が動いているのがわかりますが…)

さあ、実際に交換してみよう

ある程度理解できたので、実際にムーブメントの交換作業に入ります。

ムーブメントの取り付け

ホルダ固定タイプではないが、サイズがほぼ同じなのでこのように収まってしまった
【図8】

 市販のムーブメントの詳細なサイズが分からなかったため「軸を文字盤に固定」するタイプの物を購入したのですが、ムーブメントがそのままホルダーに収まってしまいました。

ムーブメントのサイズって共通なのでしょうか。もともと安価なものなのでメーカーとしてもサイズを異にする意味は無いのかもしれません。

 商品カタログを見るとほとんど同形の電波時計ムーブメントもありました(一回り大きいものが多いです)。
選択肢は広がりましたね。

 上の写真(図8)はその時の状況です。ホルダーにうまく固定されているので、シャフトのナット締め付けはせずこの状態で使うことにしました。 

最後に針を取り付ける

針を購入する際には注意

針を取り付けます。
通常ムーブメントと針はセットで販売されていることが多いですが、別々の場合は次の事項に留意します。

  1. まれですが軸の太さと針穴の口径が微妙に合わずゆるゆるだったり(経験済み)きつすぎたりということがあります。
  2. ムーブメントの軸は通常すべての針(時、分、秒)が取り付けられるようになっていますが、分針に穴が空いていないと最上部の秒針が取り付けられません。
分針に穴が無いと秒針を取り付けられない
【図9】 分針に穴がないとその上に秒針を取り付けられない。
交換後の指針
【図10】 分針に穴あきの物を使い秒針を取り付けた

針はそれぞれ水平にしてぶつからないように

 針は時針・分針・秒針がそれぞれ平行になるようにセットします。さもないと針が一回りする間に互いの針同士が接触、衝突して針の動きが止まってしまいます。

 私は通販で購入したのですが、ビニル袋に入れられた部品が紙の封筒で送られてきたため、特に秒針はアイロンでもかけたくなるほどよれよれになっていて、水平に伸ばすのに苦労しました。

古時計は生まれ変わり元の位置に

 下の写真のように再生した壁掛けからくり時計は元の位置に収まりました。
もともと無かった秒針が新しく加わりました(併せて分針も交換)。

修理完了後の壁掛け時計
【図11】 修理後の時計。赤い秒針が追加されて復活しました。

使ってみた感想

 私はムーブメントを通販で購入したのですが、サイズの表示が無いものが多く既製品の部品交換では不安がありました。特にシャフトの長さについては困りますね。

また後で気がついたのですが、電波時計のムーブメントもサイズはほとんどが 56mmx56mm です。標準規格なのでしょうか。

でも購入の際はサイズの確認をしてください。併せて針が付属しているのか別売りなのかも要確認です。

安いのはいいけれど、安物には注意

 実はこの記事を公表する前に1度交換作業をしているのですが、3ヶ月ほどしてから急に遅れが目立つようになり、ひどい時は1時間に10分も遅れるようになりました。これではちょっと使えませんね。

安くても良いものならいいのですが、「安物」はダメですね。

何しろ数百円という価格だったのでこんなものかなとも思いました。あらためて日本メーカーの誠時ブランド(製造は中国)のものを購入。それでも前回の2倍ちょい程度の値段でした。


【参考】
 現在稼働中のユニットについて取説の一部を掲載します。
(交換した誠時SP350)

ムーブメントの取り付け説明書

この調子で手作り時計も

余ったパーツで壁時計

この記事を書くために買ったムーブメントが1つ余ってしまったので(軸が長すぎた)、時計が無い二階の洗面トイレ付近の壁に取り付けてみました(壁に直接ピンで取り付けたので壁時計)。


1年後 ・・・

ちょっと欲が出て文字盤に載せてみました。(この時点で壁時計壁掛け時計

文字盤に載せてみました
しばらく壁時計でしたが、1年後に壁掛け時計になりました

どうせやるのならと、文字盤を塗装して文字符を付けました。

結果、さらに1日後こうなりました・・・。
夜中に急いで作業したので文字符が少し曲がってしまいました (^^;)。

文字盤に数字を載せました
壁時計もいいけど壁掛け時計も良い

時計盤文字符は県庁所在地のホームセンターまで行って探しましたが、無かったので通販で購入したものです。

(おわり)

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