電動アシスト自転車の回復充電機能は使えるか

1年前に購入したブリヂストンの電動アシスト自転車TB1eには回復充電機能というものがあり、走りながらバッテリーに充電してくれるのです。しかしこれにより惰性で走行できる距離がずいぶん短くなっているなというのは感じます。走行エネルギーを発電に使っているのですから当然のことですね。

目次

ブリヂストン電動アシスト自転車 TB1eの回復充電機能とは

ブリヂストン電動アシスト自転車TB1eの車重はバッテリー搭載で24kg ありますから相当重いです。

実際にはこのほかにUSB前照灯やミラー、サイクルコンピュータ、スマホなどもハンドルバーに取り付けると更に重量が増えるかもしれません。

TB1eは他の一般的な電動アシスト自転車とは大きく異なる箇所があります。それが「回復充電機能」というものです。

回復充電機能

TB1eは前輪にモーター(ハブモーター)が付いていて前輪を駆動します。そしてペダルは通常の自転車と同様後輪を駆動します。

つまり、走行中は「前後両輪駆動」なのです。

そして条件が合えば、走行している運動エネルギーでモーターを発電機として動作させ、バッテリーを充電するのです。

発電の条件というのは、ペダルを漕ぐのを止めたり左ブレーキ(後ろ車輪)を掛けたときなどです。

これを「回復充電機能」とか「回生」などといいます。

前輪ではなく後輪のハブにモーターを設置し、これが発電機として動作するタイプもあるようです。

ただそのタイプの自転車の資料は手元にないので、ここでは省略します。

発電中は常にエンジンブレーキがかかっている

自転車の良いところは、ある程度スピードに乗ったら漕ぐのを止めて惰性で走行できるところですね。

静かに風を切って走るのは気持ちのいいもので、またこの惰性による走行中が結構休養になったりするものです。

しかし走行中の運動エネルギー発電に利用するのでエンジンブレーキがかかった状態になり、惰性による走行距離は徒然短くなります。

では発電による惰性走行距離はどの程度減少するのでしょうか。

発電による惰性走行距離の減少について -検証してみました-

実際にある速度(例えば25km/h)で走行し、ペダルを漕ぐのをやめてから惰性でどのくらい進むのかを測ってみました。

測定に使用したのは、速度計としてスマホアプリの「自転車NAVITIME」と、CYCPLUS GPSサイクルコンピュータです。

速度計としては両方併用しました。

自転車用アプリの画面
自転車用アプリ画面
サイクルコンピュータ
サイクルコンピューター

計測は「アシスト無し」「アシスト有り」の両方について、それぞれ4回ずつ行いました。

測定方法は以下のとおり

電柱や立て札など適当な物標があれば、それを慣性走行の始点(A点)とします。

発電することによるエネルギーの損耗程度を簡易的に測ってみた
慣性力だけで走れる距離を測定して比較する
  1. 上図において、準備として例えば電柱をA点として設定する。
  2. 自転車をスタートさせ、A点を定速(25km/h)で通過できるよう加速し維持する。
  3. A点通過と同時にペダルをフリーにして惰性で走行する。
STEP
25km/hまで加速しその速度でA点を通過
STEP
A点通過時にペダルを漕ぐのを停止
STEP
速度が落ちて足が地に着いた点をB点とする
STEP
B点からA点までの距離を測る(惰性で進んだ距離)

これをアシスト有り、無しの場合のそれぞれ4回繰り返して測定しました。

【惰性で進んだ距離(m)】

電動アシスト1回目2回目3回目4回目平均
無し159187161169169
有り1099098114103
アシスト有りの場合はアシスト無しのときより4割程度距離が短い
検証結果

電動アシスト有りの場合は回復充電機能が働くため、

アシスト無しの時より約40パーセント慣性による走行距離が短くなる

という結果になりました。

検証を実施した直線道路
計測に使用した直線道路

惰性走行のエネルギーを発電に使うなんてもったいない

走行中でも足は休んでいることが割と多いもの

梅雨で雨が降っているときにわざわざ走りたくはなかったので、代わりにエアロバイクを購入しました。室内でもトレーニングができると思ったからなのですが、このエアロバイク、まったく楽しくないのです。

理由はいろいろあるのですが、エアロバイクはペダルを休めることができません。トレーニングマシーンなので当然となのですが、ひたすら漕ぎ続けなければいけません。

自転車というのは結構足を休めているもので、下り坂以外であってもある程度の速度が出ていればペダル漕ぎを休むことができます。

エネルギーの変換効率は低い

当初はこの回復充電に過大な期待を持ってしまったのですが、これにより惰性による走行距離が短くなってしまうのは、考え方によっては結構無駄なことをしているのかなと思いました。

というのは、惰性走行中の運動エネルギーで発電をしたところで、得られる電気エネルギーはわずかなものだからです。

上の項目で検証したように、惰性で走行中にブレーキがかかってしまって距離が伸びないなあということは実感していました。

ただ、下り坂では地球の引力が手伝いをしてくれているので、ブレーキを掛けることで摩擦熱に消えてしまうエネルギーの一部を有効に活用しているとは感じます。

このとき、坂を上るときに消費した電力を、同じ坂を下るときに発電した電力でほぼ元に戻せるなら、無限エネルギーに近い状態が実現できるんですけどね。

回復充電機能はOFFにすることも可能

平地において惰性による走行エネルギーを失いたくない場合は、次のように回復充電機能のモードを選択することで解決できる場合があります。

回復充電機能には3つのモードがあり下り坂ではその強弱を、平地ではON、OFFが選択できます。

モード回復充電機能お勧めの環境
0L平地自動回復充電機能(切)
下り坂自動回復充電(弱)
郊外や平坦な道が多い環境
1L平地自動回復充電機能(入)
下り坂自動回復充電(弱)
市街地や平坦な道が多い環境
1H平地自動回復充電機能(入)
下り坂自動回復充電(強)
坂道や長い下り坂が多い環境
ブリヂストン電動アシスト自転車取扱説明書(シティ車)より

なので平地では自動回復充電機能をOFF(モード0L)にすれば発電をしないので、ブレーキがかかったような状態にはなりません。

モードを0Lにした場合、平地では回復充電機能がOFFになりますが、下り坂では「弱」ではあるものの同機能がONになりますので、平地が多い地域では有効です。

(おわり)

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