洗面・脱衣所に遠赤外ヒーターを設置してみた どのくらい暖かいのか

近年ヒートショックによる事故が全国的に増加しつつあるというニュースに接し、また自分の年齢も考慮して、以前から寒い寒いと思っていた我が家の洗面・脱衣所にとうとう暖房機を設置しました。

壁上部に設置された暖房機
目次

寒い洗面脱衣所に暖房機を

電気方式にすることは決めていた

2020年12月、さすがに自分の年齢も考慮して洗面脱衣所に暖房機を取り付けました。壁取り付けタイプの遠赤外線ヒーター(グラファイトヒーター 1200W)です。

我が家はオール電化なのでわざわざ灯油を使うという考えは最初から無く、漠然と遠赤外線による速暖タイプにしようと思っていました。ただ、電気式というのは電気代はかかる割にはあまり暖かくない印象があり、暖房機の選択には多少の迷いもありました。

ただ、トイレの暖房も同じですが、常に部屋全体を暖めておく必要は無く、必要な時だけ暖かければいいのです。そのためには何といっても「速暖」は必須で、各メーカーの宣伝文句が気になるところです。

スイッチを入れてもしばらくは風が出てくるだけのタイプは脱衣所には不向きです。暖まるまで待つくらいならさっさと体を拭いて服を着ろよという話ですね。

繰り返しますが洗面脱衣所(トイレも)の暖房は速暖が命です。

遠赤外線ヒーターにも種類がある

購入前に街の家電量販店に行って下調べをしました。「速暖」とか「0.5秒で」などという宣伝文句が並んでいますが、価格が数千円から数万円までと大きな開きがあるんですね。いったい何が違うんでしょうか。

ハロゲンヒーター

文字どおりハロゲンランプを発熱体とする暖房機器です。赤外線にもその波長には幅があり、厳密に言うとハロゲンランプは近赤外線の割合が多いようです。

ハロゲンランプから放射される赤外線輻射熱を直接当てて暖めます。能力は低めですが速暖性があり低価格です。ただ最近はハロゲンヒーター方式は少なくなったような気がします。

カーボンヒーター

植物性炭素繊維(ガラスクロス)に電気を流して暖める暖房機です。この植物性炭素繊維の赤外線放射量はハロゲンヒーターの約2倍といわれています。値段も手ごろで種類も一番多いように思います。

シーズヒーター

発熱体はニクロム線を金属体のシース(さやのこと)で覆った構造になっています。価格は少し高めです。

石英管は割れる事がありますが、シーズヒーターは金属管なので破損が大幅に少なくなります。

この金属管にコーティングしているものの違いによって各メーカーがそれぞれ商品名を付けているようです。

一次的に脱衣所で使った遠赤外線ヒーター
シーズヒーターの遠赤外線ストーブ

この写真は居間で使用しているコロナ製のシーズヒーターで、「コアシート」という愛称で呼ばれています。

これまでは寒いときには妻がこの遠赤外線ストーブをその都度洗面所まで運んで使っていました。

確かにこのヒーターはとても暖かいのですが、スイッチを入れてから暖を感じるまで1分以上かかるのです。

このように居間で使っていると実に暖かいのですが、「速暖」ではないので、脱衣所で使うにはその点を考慮しないといけません。

グラファイトヒーター

今回採用したのがこのグラファイトヒーターを使った暖房機です。

壁取り付け型の遠赤外暖房機

グラファイトとは黒鉛のことで炭素材料の一種です。価格は少々高めです。

脱衣所は床にいろいろ物を置いていることが多いことや、夏季期間はたぶん必要ないだろうと思い、その時に邪魔にならないように壁取り付けタイプにしました。

ワンポイント

遠赤外線とは・・・
地球上の物質は全て遠赤外線を発しています。その中でもカーボンやセラミックというものは遠赤外線の量も多く、加熱することにより強烈に発します。発熱体の種類によってそれぞれ速暖性などに違いがあります。遠赤外線が当たっている物体、例えば皮膚や壁、床などが暖まり、やがては周囲の空気が暖まるのですが、初期には暖房の範囲が限られます。

速暖とはいうけれど・・・
- どんな暖まり方なの? -

遠赤外速暖暖房機に関してはしばしば次のような製品レビューを見かけます。

よく見るレビュー

・つけた瞬間にすぐ暖かくなる
・速暖機能ですぐ暖まる
・2秒速暖機能がうれしい

確かに「速暖」をうたっている以上、大変気になるレビューではあります。

しかしそんなに速くポカポカになるものなのでしょうか、誇張があるとしてもわずか1、2秒程度でポカポカに?
一般的に家庭用電気式暖房機の消費電力はせいぜい1.2kw/h。ちょっと大きめのヘアドライヤー1個分なのです。

暖房機を購入するにあたり皆さんが一番知りたいのは、レビューにあるように

● 本当に付けた瞬間にすぐ暖かくなるのか

● どのくらい暖かくなるのか

といったこと、つまりどんな暖まり方なのかではないかと思います。

寒いけれど暖かい

2021年の末、徐々に寒くなってきたころから2ヶ月ばかり室温と暖房の状況(感覚的なものですが)をメモしておりました。その詳細は省略しますが、まとめると概ね次のようなものです。

期間中の室温は10℃から18℃くらいの間でした。

風呂に入る時はさほど気にはならないのですが、浴室から出たばかりはやはり寒いです。
体が濡れているときに感じる寒さは18℃も10℃も変わりません。

この時に頭上から射してくる熱線は本当に暖を感じさせてくれます。
ただその範囲はごく狭く、せいぜい肩から背中の上部のあたりまでです。

この時の感想はいわば「寒いけれど暖かい」といった感じなのです。

寒いけれど暖かい? どういうこと?

陽射しを受けたときの皮膚が感じる暖かさ

冬の寒い戸外で雲の切れ目からお日様が姿を現すとたちまち暖かさを感じますね。そしてお日様が雲に隠れるとまた先ほどのように寒くなります。或いは自分が日陰に移動した場合も同様に寒く感じますね。

ひなたぼっこ : みふねたかし氏提供

冬の戸外においてたき火にあたった時も、顔面や手のひらなどには「あたたか~い」とすぐに暖かさを感じます。でも自分の前に誰かが割り込んで来て陰になると途端に寒くなります。

たき火を囲むこどもたち:パブリックドメイン様よりDL

このようにお日様の陽射しやたき火の暖かさというのは、熱線を直接体に浴びている時だけなのです。これらが何かでさえぎられるとたちまち元の寒さに戻ってしまいます。

なぜなら周囲の空気が暖められ、それを暖かいと感じたからではないのです。あくまで周囲の冷たい冬の空気の中で、直接皮膚に作用するお日様の陽射しやたき火が暖かく感じられるのです。

この環境をそっくりあなたのおうちの脱衣所に当てはめてみましょう。

室温を上げるのは難しいが体は暖かい

脱衣所にお日様が

洗面脱衣所に設置したこの遠赤外暖房機、スイッチを入れるとわずか1秒足らずでヒーター部分がオレンジ色に輝きだします。

放射された熱線は顔や首筋、両肩などに短時間で「あったか~い」を感じさせてくれます。まさに雲の隙間から姿を現したお日様の陽射しのようにです。

しかし少しでも暖めておこうと入浴中に脱衣所の暖房を入れっぱなしにしていても、お風呂から上がったときにさほど暖まっていないことが分かります。空気を暖めているわけではないからなのです(我が家の洗面脱衣所は中途半端な広さがあるので特に顕著です)。

部屋は寒いが体は暖かい

この種の暖房機は空気を暖めるのには向いていません。それでもやがては壁や床が暖められ、それに伴い暖められた空気が対流することによって部屋全体が少しは暖まるとは思います。

しかしそれには相当の時間を要し、室温が10℃から15℃に上がったところで、風呂上がりの体にとっては寒いことに変わりはありません。

でも浴室から出てこの暖房機の下に行くと、暖房機の熱線を直接浴びた皮膚はその暖かさをすぐに感じます。

これは先に述べた戸外でのお日様の陽射しやたき火にあたっている時の感覚そのものです。室内の空気は冷たいにもかかわらず、暖房機から照射させれる熱線で暖かさを感じます。

これが「寒いけれども暖かい」ということなのです。

そして服を着てしまえばその後はお風呂で暖まった体の暖かさが戻ってきて、今度は逆に暑すぎて暖房を切るといったことはしばしばありました。

この服を着るまでの短時間をカバーするのが速暖暖房機の使命でしょう。ただ周囲との温度差があまり縮まらなければヒートショックによる事故のリスクは依然存在するのです。

時間はかかりますが前もって暖めておくことの他にも、二重窓や床下断熱を見直すなどの対策も検討の余地があると思います。

その他の参考情報

気になる電気代は?

 各電力会社によって単価は異なりますが、取扱説明書記載の仕様から抜粋した内容によると概ね次のとおりです。

600W(弱)  約16.6円/時間
600W(強)  約16.7円/時間
1200W(弱) 約32.8円/時間 
1200W(強) 約32.9円/時間 (速暖効果を感じるにはこのくらいが必要) 
涼風(強)     約0.54円/時間

例として、消費電力700Wのエアコンは約18.9円/時間

1時間あたり30円超などと言うとずいぶん高いような気がしますが、遠赤外線ヒーターは脱衣所やトイレなどでの短時間の使用を目的としていますから、1ヶ月集計してもさほどかかってはいません。
むしろタイマーを活用したり消し忘れに注意することの方が大事です。

長時間運転するのであればエアコンの方が経済的かもしれませんが、洗面所に付けるケースはあまりないかもしれません。

急激な温度差で起こるヒートショック

● ヒートショックとは

暖かいリビングから寒い洗面・脱衣所への移動などで、気温の変化による血圧の乱高下が原因となって心臓や血管の疾患が起きやすくなります。これをヒートショックといいます。

トイレや廊下も寒いと感じる場所の上位に上がりますが、脱衣所は裸になりますから特に寒さの影響を受けることでしょう。

しかもその直後に熱い風呂に入るのはとても危険です。

2018年のデータですが、交通事故による高齢者(65歳以上)の死亡者数が1,966人であったのに対し高齢者(同)の入浴中の死亡者数が4,900人だそうです(警察庁・消費者庁)。

ただ入浴中の事故には転倒なども含まれるため必ずしもヒートショックによるものではないのですが、交通事故の死者数が減少しつつあるのに対して入浴中の事故が年々増加傾向にあることには注目しなければなりません。

● ヒートショックを防ぐためには工夫も

冬場のヒートショックを防ぐためには、居間と洗面所と浴室内の寒暖差を小さくすることです。

こうしてみると脱衣所は短時間とはいえ裸になるところでありながら、火の気が一番少ないところです。

灯油に比べると電気はコストが少々高くつきますが、これは冬期間だけのことであり、既に書いたようにヒートショックの危険性を考慮すると出費がかさむのはやむを得ないことですね。

電気代を考えるあまり暖房機を付けた意味がなくならないよう、例えば家族ができるだけ間隔をあけないで入浴することも、無駄を省くには必要であろうと思います。

素人でも本体の取り付け工事は簡単
– ただしコンセントの新設は資格が要ります –

街の電器屋さんで購入すれば、たぶん設置工事まで含まれていることと思いますが、通販の場合は自分で設置するか業者に依頼することになるのが一般的であろうと思います。設置工事そのものはとても簡単なのでご自分でやってみませんか。

1. 暖房機は自分で取り付けてみましょう。

本体の裏側に取り付け用の金属プレートがあります。このプレートを受け止める金具1枚を4本の木ネジで壁に取り付けるだけです。

このとき、取り付ける壁の裏に柱やその他の下地が無いとねじが効きませんから、抜け落ちる恐れがあります。こんなときはその個所にボードアンカーを埋め込みます。

ボードアンカーというのはインプラントの土台のようなものですね。ここに木ネジで留めるのです。製品に付属していますし、街のホームセンター等でもいろいろなタイプの物が手に入ります。

2. 本体は意外に軽い

暖房機本体は意外に軽く(3.7kg)、取付工事は一人で十分可能です。

床置きタイプがそれなりに重さがあるのは、転倒しにくくするためなのかなと思います。

3. 電源の取り方に注意

電源は最寄りのコンセントから単独でとります。付属のケーブルが届かない場合は電気工事業者にコンセントの増設をしてもらってください。延長テーブルタップは使用すべきではありません。

(おわり)

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