応募書類の顔写真、就職に関係ある?
就職活動といえば履歴書ですね。面接の前に選考に使われることのある応募書類。自分がアピールすることをぎゅっと濃縮して文字に表したもの。そしてそれに貼付する証明写真。
この証明写真ですが、選考に影響するのでしょうか。皆さんとても気になるところだと思います。
先日あるテレビ番組で、たまたまこのテーマを取り扱っていたので簡単にご紹介したいと思います。
人事担当者はこのように言っています…
-NHK番組 おはよう日本から-
- 証明写真だけで合否を判断することはありません。ただ、会ってみたいなと思う情緒的な判断には影響していると思う。(IT企業 採用担当)
- 多少はあると思う。企業に学生が(書類を)送るわけだから、最低限のビジネスマナーや一般常識を持つか確認するので、写真だけで合否ではなく写真を含めた書類というところで評価の対象になる。
例えば、友達とのスナップ写真、散らかった部屋を背景にした写真など応募するのにふさわしくないものを使っている場合—-選考に影響する可能性はある。
(マイナビ編集長 高橋誠人さん)
国の機関では…
私が定年まで勤めた部署で、人事の担当者と雑談をした際に聞いた話です。履歴書に貼付する写真は、面接の後にどんな話をした人だったかを思い出すには必要かもしれないが、写真でもって合否を決めることはない。
あくまで採用の決定になるのは本人の業務に対する意欲であったり、採用後きちんと継続して勤務できそうかどうかなどがポイントとなるので、写真映りはまったく問題にすることはない。
ただし履歴書は正式な書類なので、写真に関しては例えば身だしなみがきちんとしているか、背景が無地であるかなど応募する者として常識的かどうかといった点では人事担当者の心証に影響はあるだろう。
ということでした。
「容姿端麗」が特に重視されるような職種や職場ならば、それに向かって最善の努力をすべきとは思います。
しかしそうでなければ、上に紹介したような人事担当者の常識的なコメントが参考になるのではないでしょうか。
新卒採用担当412名を対象にアンケートした結果
NHK「おはよう日本」が公表したデータをグラフにしました。
番組では、街角で就活中と思われる若者にインタビューしたら「顔写真が採用に影響あったら不安だなと思う」(女性)とか「同じ内容がエントリーシートであったとき、通るのは写真映りや見栄えが良い方だと思う」(男性)といった声が聞かれました。
新卒採用担当者に対するアンケートでは、上の円グラフが示すように「大いに影響」と「やや影響」を合わせると6割以上が影響するという結果ですが、皆さんはこれについてどのようにお考えでしょうか。
採用担当者が影響を受ける印象とは
上の人事担当者のコメントと併せて考えると、ここでいう「印象」とは、必ずしも「映りが良い」とか「見栄えがする」などといったことではないでしょう。
就職というのは人生において非常に大きなイベントの1つでもあります。
本当にこの人はここで働きたいと考えているのか、採用されることを望んでいるのか。
そのような大事な時に無精ひげだったり髪がボサボサだったり、猫背で貧相な感じだったりという写真を提出する応募者にやる気はあるのだろうか。
ここ一番という時に適当な写真を提出する人間が会社の仕事を丁寧に処理できるのだろうか。
プロである採用担当者が応募書類の写真を見て受ける印象を左右するのは、このようなことだろうと思うのです。
就職活動に力を入れているフォトスタジオ
その一方で「少しでもいい写真で応募したい」そんな学生たちが口コミで評判を知って殺到している写真スタジオの様子が紹介されていました。
就職活動用の写真撮影に力を入れているフォトスタジオで、専属のスタッフがより印象に残るメイクをアドバイスし、少しでも印象が良くなるような表情での撮影を行っています。
選ばれるため細部にまで気を配る学生が増えているそうで、撮影を終えた女子学生は「写真の印象も選考に関係あるかなと思っていた。これで大丈夫だと。」と話していました。
不安が少しでも解消され、自分に自信が持てることによって表情や話し方などがプラスに働くのであれば、それだけでも効果は十分あったと言えるでしょう。
ただし私見ですが、見た目第一でなければならないような職業や会社は別として、それにこだわり過ぎて整形美容が大繁盛というのもどうかなと思ってしまいますね。
履歴書から性別と顔写真を無くす会社も
選考で顔写真を求めることを見直す
ある大手日用品メーカーでは、昨年次の募集から履歴書の顔写真と性別記入欄を無くしたとのことです。
書類の段階で仕事の能力や意欲を見極めるのに顔写真はむしろ邪魔になると考えた。
(書類を見た時)証明写真に目がいかなくなるので(その情報が無いので)その人がどういう人なのか、どういう能力・スキルがあり考えを持つか、そこにより焦点を向けられるようなった。
(ユニリーバ・ジャパン ブランドマネージャー 河田瑶子さん)
写真欄の廃止に懸念の声もあったが・・・・
一方写真が無いと膨大な書類から該当者を探したり面接での本人確認に手間が増えるのではという懸念の声もある。
導入に当たって応募の仕組みを変えたり本人確認をより慎重に行う必要はあったが、結果的には会社に合う人材を選ぶことができた。(前出:河田さん)
アメリカでは履歴書に写真は貼らない
米国在住28年のある日本人男性の話によると、米国では履歴書に写真は貼らないそうです。履歴書の写真は立派な容姿差別になるのだとか。
写真だけではなく履歴書には生年月日を書かないので会社には社員の年齢はわからず、よって定年もなく能力さえあれば何歳になっても働けると言っています。
将来はどのように・・・
- 今後企業がより良い人材を取るためには応募書類で学生に求めることにも自分たちらしさを反映させる必要がある。
- あいまいな状態で断面的な情報だけで判断するより、私たちはこういうポリシーや考え方に基づいて、こうしたことを重視、求めているということを(応募書類で)開示していくこと。こちらの重要度が増していると思う。
(リクルートキャリア就職みらい研究所所長 増本全さん)
これらのことをまとめてみると、
- 写真で合否は決まらないが良識の無い写真だと影響はありうる。
- 現状で言うと、多くの会社で採用選考の効率性もあるため顔写真を求めている。
- しかし顔写真を求めない取り組みは大手ガラスメーカーでも今年度から導入しているなど、一部の会社で広がりつつある。
どの会社でもあくまで人物本位であるのに変わりはないけれど、この企業はこういうスタンスなんだというのが学生側に分かると学生側も選ぶポイントになると思うんですね、と番組では最後にこう結んでいました。
— 2021年4月10日(土)朝放送のNHK番組「おはよう日本から」 —
(おわり)
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